チラシとデザイン業界の変容

デザイナーが一人で仕事を担当するという時代がありました。

企画を立てて、ラフスケッチを行い、OKが出たら筆と絵具で作品を完成させて、印刷に回す。これらの仕事はどんどん細分化されていきました。そしてコンピューターの出現によって専門的な技術というものが無くなっていきました。

例えば、平成の初期は平行線をフリーハンドで描けるようになることがデザイナーの基本と言われていたそうです。それをコンピューターの存在が無用にしてしまったのです。プロとしての仕事であったのが、専門的な技術がなくてもそれなりのものができてしまう。それまでの専門技術が、当たり前のものになってしまい、やがてプロとアマの境界が崩れたと言えるようです。

グラフィックデザインの世界で、アートディレクターという職種が出現しました。全体の美的なものをまとめていくというものです。

ディレクターの指揮によって、イラストレーターがラフを描き、そして実際のイラストを描くイラストレーター、コピーライター、カメラマン、デザインやレイアウトをするデザイナー、印刷原稿を行うデザイナーという専門家たちの連携で制作されていきます。アートディレクターを据えることで、デザインのレベルアップがなされました。有名デザイナーなど一般人も、このようなデザインに注目して売上にも大きな影響を与えることになりました。

その特徴というのは、イメージを中心としたもの。

幻覚のようなデザインといったような、本質的なメッセージというのは持たないものでした。これが90年代、バブル崩壊後となると、宣伝しても売れない時代となっていき、これまでの広告が見直されることになり、有名なデザイナーの影響力は下がってしまいました。